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医療法人社団 高邦会 福岡山王病院 消化器センター長 壬生隆一教授
壬生 隆一 みぶ りゅういち
所 属:医療法人社団 高邦会 福岡山王病院
消化器センター長
国際医療福祉大学 福岡看護学部 教授
取得学位:医学博士
専門分野:消化器外科
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会(評議員)、日本消化器病学会(評議員)、日本臨床外科学会、日本がん学会、日本腹部救急医学会 |
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研究・教育・社会活動概要
診療と研究:小腸、大腸、肛門疾患の臨床と研究を行っている。臨床面では最近増加しているクローン氏病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の外科的治療を行っている。潰瘍性大腸炎に対して大腸全摘術が施行されるが、この大腸全摘術後の病態を研究し、大腸全摘術後の再建法として回腸間置法という独自の手術方法の有用性を明らかにした。基礎的研究によりこの再建法では水分、電解質の吸収が従来法より増強していることを示し、胆汁酸やビタミンB12の吸収で重要な回腸末端部の機能が温存されるためであることを解明してきた。
現在、臨床にも応用して良好な結果が得られている。臨床の大腸疾患で1番多いのは大腸癌であるが、特に直腸癌の手術後には排尿、排便、性機能に障害をきたす。これを防ぐため近年では自律神経温存手術が採用されている。我々は自律神経の中でも骨盤神経叢は排尿、性機能だけではなく、大腸運動そのもののコントロールタワーであることを実験的研究において明らかにしてきた。
肛門疾患としては痔核や痔瘻が主であるが、出産時の会陰裂傷による便失禁や直腸腟瘻の手術といった難治性疾患に対する治療にも良好な成績をあげている。さらに、慢性便秘症や便失禁といった排便障害に対して腸管移送時間測定・直腸肛門内圧測定・排便造影といった生理学的アプローチによりその病態を明らかにして、診断と治療を行っている。
教育活動:医療技術短期大学部においては成人、老年看護学に関して講議を行い、看護を学ぶ上での外科的知識の教授を行っている。また、他の学科においても臨床的知識に関して講議している。さらに、医学部においても小腸、大腸、肛門疾患の講議を行っている。
社会連携活動:大腸癌を主とする人工肛門造設患者の支援のためストーマの患者会より要請があれば教育的講演を行っている。炎症性腸疾患をもつ患者やその家族を対象とした啓蒙活動も行っている。
研究業績
●主な研究テーマ
- 肛門疾患の診断と治療
- 便秘症の診断と治療
- 大腸がんの外科的治療
- 炎症性腸疾患の外科的治療
●便秘に関する総説
- 高齢者の便秘への対応:日本医事新報 vol 4072
- 慢性便秘症の診断と治療:消化器科 vol29
- 高齢者の便秘症の診断と治療:日本医事新報 vol 3793